2008年 6月11日一般質問(品田ひでこ質問)及び区長答弁

第二回定例区議会 本会議 一般質問と区長答弁 <要点>

1. 「日本の社会保障」と「文京区の福祉」を問う

品田質問「介護保険」の導入から始まり「医療費の改正」、「消えた年金問題」、そしてこの春からの「後期高齢者医療制度」と、次々に押し寄せる日本の社会保障制度の崩壊と社会保障費の伸びを抑制する政府の方針に、私たち国民は、将来の生活が、恐ろしく不安な思いでいっぱいです。 わが国の社会保障をどのレベルにするかの選択が、いま問われています。日本が、高負担国家への道を進むなら、国民の生活をベースに置いた抜本的な税制改革が必要になることなど、国民的な議論をきちんと行うべきです。 これまでの文京区の福祉体制をたどると、遠藤区長の時代は「福祉の発展期」、さらに煙山区長の時代は、「福祉の縮減期」でした。ですから、社会・経済・人口動向など変動の時代に、新たに文京区のリーダーになった成澤区長は、この「日本の社会保障」や「福祉国家の再編」にどのようなご見解か、さらに、「文京区の地域福祉」をどの方向にリードしていくのか、伺っておく必要があります。
<質問1>「これからの日本の社会保障」はどうあるべきか。「文京区の福祉」にも触れて見解を伺う。
<質問2>大きな組織「福祉部」に統合した狙いは何か、その戦略は何か。
区長答弁「大きな政府」と「小さな政府」の二元論を超えて「公平性」に留意した「公共関与」のあり方がいま問われていると考える。 「子どもたちと高齢者の応援歌」の実現するアプローチが必要。高齢者同士の支えあいも含め「お節介なまち」を創る。そして、持続可能な地域社会を実現できないかと考える。 今回の組織統合により、低所得者福祉や高齢福祉、障害者福祉などの分野において、民生委員などの地域で活躍している各種団体の活動を一層有機的に結びつけ、地域の福祉基盤の強化につながると考える。
品田質問導入当初の4月から、新しい保険証が届かないとの報道を皮切りに、現場の混乱が次々と伝えられました。残念ながら、文京区でもミスが2件起きました。 制度の複雑さや周知の不徹底も、混乱に拍車をかけました。混乱の原因は、保険料算定に「個人単位」と「世帯単位」が混在しているからです。さらに、年金からの天引きとなるため、年金記録漏れ問題と絡めて新制度への攻撃は避けられません。何よりも、75歳以上の対象者にとって、「年齢で切り離された」「厄介者扱いされている」といった、制度そのものの議論より、感情論が先行しています。
<質問3>区は、「後期高齢者医療制度」移行後の課題と改善点をどのように整理しているか。
区長答弁区民からの意見の多くは、保険料の負担増や年金からの保険料の引き落としに関するものとの認識している。制度導入に向けて、保険料への特別対策や低所得者対策も講じてきた。今後の国の検討を見守る。

2.「男女平等・子育て支援政策」

品田質問子育て支援は、社会や職場、家庭において男女平等社会を実現してこそ功を奏します。そのことからすると、20年度区の組織人事体制は、政策の後退と、心配しています。
<質問1>「男女協働子育て支援部 子育て支援課」の課長が「男女協働・特命担当課」を兼務することになった理由をお答えください。さらに、今でも「男女協働・特命担当課」の「協働」が「平等」や「共同」でない理由は何か。
<質問2>区長のマニフェストの「育児と仕事の両立支援」をこの部でどのように実現して行くおつもりかお答えください。
区長答弁適材適所の人事異動を行った結果である。
「協働」とは、「平等」とは異なり、男女が相互に協力し合って課題解決に取り組むとの認識で、子育て支援とのかかわりはその取り組みの一局面と考える。 「子育て支援策」は、最重点施策と考え取り組んでいる。保育所や病後児保育など多様な保育メニューの提供、育成室の充実など図って行く必要がある。
品田質問20年4月1日時点の待機児数は、認証保育所にやむなく入所した後もさらに「124人」と、今年は応募者の14%(平年12%)になりました。保育園入所がかなわない子どもが100人以上今でもいることは、猶予ならぬ事態です。
<質問3>保育園待機児対策について、どのような緊急対策をとる方針か具体的にお答えください。  特に、小石川地区の「水道」・「久堅」・「柳町こどもの森」保育園の倍率は、2~5倍と深刻な状況です。しかし、こうした状況を、区は、これまで放置し、何も対策を講じてこなかったではありませんか。この地域に新園を望みますが、<質問4>小石川地域の緊急対応として新園が困難であれば、既存の保育園の分園という方法で、定員を増やし、保育需要に応えていくべきと考えます。また、その後の需要の動向を敏感に受けとめることができると考えますが、いかがでしょうか。  
保育需要には、①短時間、②週に2~3日 ③子供が小さいうちは近くで働きたい 
といった需要もあり、それに区も応えて行くべきです。

<質問5>多様な保育ニーズ(理由)に対応するため、この短時間保育を、公立幼稚園で実現できれば、この方々のニーズに適した保育が可能となり、一部の保育園待機児を解消でき、倍率を下げることができると考えられますが、いかがか。
区長答弁「保育園待機児童緊急対策会議」を設置した。提案の保育園の分園の開設、公立幼稚園の預かり保育の充実など、あらゆる可能性を検討していく。
品田質問私たち会派の提案により、妊婦健康診査のうち、健診14回分を助成することが実現しました。区の姿勢を、まずは評価いたします。 しかし、「助産院では健診に受診券が使えない」など問題が生じています。
<質問6>「妊婦健康診査」制度の拡充後、区民からの反応をどのように受け止めていますか。私の指摘した点も検討いただき、対応を願います。
区長答弁検診内容や医療機関と助産所との役割分担等を踏まえつつ、公費負担のあり方について十分に検討する。

3.「地球温暖化対策」を「資源環境部」の政策で積極的に

品田質問7月の洞爺湖サミットを目前に「低炭素社会への転換」に向けて、国も文京区も積極的に取り組むべきです。  区長の肝いりで4月にできた「路上喫煙対策担当」の仕事の内容が区民に何も示されていません。また、「路上喫煙・ポイ捨て禁止地区」を区内全域に拡大するべきです。さらに、タバコを取り巻く意見は、多いことから、新たなマナーやルールを区民ときちんと決めた個別の条例をつくるべきと考えます。
<質問1>「資源環境部」の「路上喫煙対策担当」の任務目的は何か。
<質問2>「喫煙に関する個別条例」の制定をすべきと考えるがご見解は。
区長答弁歩行者の安全確保と地域環境美化の観点から、公共の場における喫煙マナーの向上を図る。禁止地区を区内全域に着実に広げていくことを任務とする。

4.「消費者行政」の強化

品田質問消費生活を取り巻く事件や事故が続発しています。国は、来年度新設の「消費者庁」構想案を打ち出しました。  文京区では、区民が「振り込め詐欺」などの被害にあっています。こうしたことから、現在の経済課所管では、これらの対策や今後の消費生活センターの発展や消費者団体との協働を視野に入れた政策展開は困難と考えます。
<質問>国の「消費者庁」構想を視野に入れ、区は「消費者行政」の専門組織をつくり、施策展開と強化すべきと考えますがどうか。
区長答弁国の動向を慎重に見極めながら、必要な組織体制の整備も含めた消費者行政の強化を検討する。

5.「成澤区長マニフェスト」の評価

品田質問成澤区長がマニフェストを掲げて当選されてことは、評価できます。さらに、区民も「政策で選ぶ選挙」をした政治意識の高い市民も誇れることです。マニフェストを客観的に評価し、改善に繋げるべきです。
<質問>成澤区長のマニフェストの評価とその改善策を公表すべき。その実現に 独自の条例を考えているか。
区長答弁今回のマニフェストは、急な区長選挙出馬で練れていないものだ。マニフェストの基本的な考え方は、基本構想実施計画に盛り込んだ。この計画の進捗状況を見極め、今後のマニフェストの自己評価をまとめる。外部評価は、提案があれば協議したいと考える。 「政策誘導型条例によるまちづくり」を掲げている。そのほかにも必要とあれば積極的に取り組んでいく。
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